さて、今回はヘソ(臍帯)の消毒についてお話していきたいと思います。
生まれたばかりの子牛の臍帯は濡れており、細菌が増殖しやすい状態です。これを消毒せず、不衛生な環境で管理してしまうと、臍帯が感染を起こし、臍帯炎になってしまうことがあります。
※わかりにくですが、子牛のヘソの写真です…(笑) 黒いのはヘソの緒です!!
ヘソの感染を防ぐために守っていただきたいことが2つあります。
①臍帯を消毒すること
②清潔で乾いた場所で管理すること
①の消毒は基本中の基本ですが、たとえ消毒したとしても、不衛生な場所で寝起きさせてしまっては意味がありません。
「そもそもヘソ腫れ(臍帯炎)はどういうものなのか?」ということを整理しておきましょう。
臍帯炎の場合、ヘソが太く、硬いことが多いです。熱感がある(触ると熱い)こともありますね。触ると痛がって足を上げる子もいます。
腫れとまではいかなくとも、ヘソに芯がある場合は、しばらくの間は腫れていないか注意して観察してあげるといいですね。
臍帯炎が悪化していくと、さらに上へ、尿膜管や臍動脈、臍静脈へと感染が広がっていく場合があります。
場合によっては手術が必要になりますし、お預かりしている牛の中には、2度の手術を経験した子も……。こうなるとお金もかかるので、これを避けるという意味でも消毒はすべきといえるでしょう。
消毒に使用する薬剤についてですが、預託されている方々の間では、ヨーチンやイソジン、ステリクロンが使用されているようです。これをスプレーなどできちんと臍帯にかけてあげてください。
具体的な消毒の手順は、以下の通りです。
①臍帯内部の血液などを、清潔な手で根本から外へしごき出す
②臍帯の外側に消毒液をしっかりとかける
手順といってもこれくらいですが、ここで注意点があります!
臍帯を広げて、臍帯の中に消毒液を注入するのは避けてください。
これをやってしまうと、臍構造に刺激を与え炎症を起こす可能性があります。ですので、臍帯の外側をきっちり消毒してあげる、というイメージを持ってください。
くどくどしく話してしまいましたが、とにかく生まれた子牛の臍帯はきちんと消毒していただきたい、というのが筆者の思いです。ひと手間かかりますが、このひと手間が後々のリスクから守ってくれる、大きな意味を持つと思います。
次回は…
【子牛に飲ませるミルクの温度について】
実は最近お預かりした子牛で、来てすぐに下痢がシャーっと出てしまった子が複数見受けられました。しかし1日断乳すると、翌日にはけろりと治ってしまっている……。
「ロタやクリプトなんかじゃこう早く治るのは珍しいし、もしやこれはミルクの消化不良では?」
ということで、正しいミルクの温度や濃度の設定についてお話ししていきたいと思っております。
更新は5月31日予定です!またお会いしましょう!
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