当センターでは、牛の成長段階に合わせていくつかの牛舎があります。
今回はその中から、私が普段担当している「哺育舎」の1日をご紹介しますね!
哺育舎で過ごしているのは、生後21日齢から60日齢ほどの子牛たち。まだミルクを飲んでいる小さな子牛が、少しずつ固形飼料を食べられるようになり、やがて離乳へと向かっていく大切な時期です。
そんな子牛たちが毎日どんなふうに過ごしているのか、朝から順番に見ていきましょう。

私たちが来る前から、子牛たちの1日は始まっています
哺育舎の作業がスタートするのは朝8時。
でも、子牛たちの1日はそれよりずっと前から動き出しています。
というのも、当センターの哺育舎では哺乳ロボットを導入しているんです。
子牛ごとに「ミルクを飲める権利」が発生する仕組みなので、決まった時間に全頭一斉に飲むわけではありません。
朝、担当者が出勤する頃にはもう飲み終わっている子もいれば、昼過ぎの14時頃に飲む子、夕方に飲む子、私たちが帰った後の夜中に権利が発生する子もいて、本当にそれぞれ違います。
哺乳ロボットのおかげで、ミルクの温度や濃度を安定させながら、それぞれのペースに合わせて複数回に分けて哺乳することができます。


人の手で全頭に同じ時間にミルクを与える必要がなくなるので、作業の効率化にもつながっているんですよ~!
朝はまず、寝床をキレイに
朝の作業の一つが寝床の掃除です。
フォークを使って、糞や尿で汚れた寝藁を取り除き、使った道具もその都度キレイにしておきます。
牛舎によっても違いますが、寝床は最低でも週に1回は必ずすべて交換するようにしています。
子牛の時期は下痢や肺炎などが心配な時期でもあるので、毎日の衛生管理はとても大切ですよね。
哺育舎では、飼槽も朝夕2回、給餌の前に残った餌を取り除いて消毒します。もちろん、水槽も毎日しっかり消毒・洗浄。
このあたりの掃除については以前の記事でも詳しくご紹介しているので、よければそちらも是非覗いてみてください↓
餌をあげながら、体調もチェック
哺育舎では、スターターや濃厚飼料、乾草、水などを与えています。
ただ、餌を与えて終わり…というわけではありません。
給餌の時間は、子牛たちの体調をチェックする大切な時間でもあるんです。
ちゃんと餌を食べに来ているか。
水はしっかり飲めているか。
ずっと寝たままになっていないか。
呼吸がいつもより速くなっていないか。
立ち方や歩き方に違和感はないか。
元気や覇気は感じられるか。
そんなところを、作業しながら一頭一頭見て回ります。
いつもなら餌を入れた瞬間に飛んでくる子が来なかったり、普段は元気に動き回っている子がなんとなく大人しい。毎日見ているからこそ気づける、そんな小さな変化もたくさんあります。
気になる牛がいれば体温を測って様子を確認し、必要に応じて担当者の判断で獣医師に連絡して診療してもらいます。
病気にさせないことはもちろん大切ですが、体調を崩してしまったときにできるだけ早く気づいてあげることも同じくらい大切にしています。
午後はそれぞれの仕事へ
午後の哺育舎は、午前中と比べると少し落ち着きます。
餌を与えて牛たちの様子を確認した後は、状況に応じて仕事を進めていきます。
堆肥を動かしたり、洗い物をしたり、忙しい牛舎の手伝いに行ったり…そして、こうしてブログを書いたりもしています。
この日は、午前中に掃除した水槽が午後になると汚れていたので、本日2度目の水槽掃除をしました。笑
哺育舎は「次の段階」への準備をもたくさん
哺育舎の子牛たちは、ずっとここにいるわけではありません。
成長すればミルクから離乳に移り、次の牛舎へ移動していきます。
そのため、離乳舎へ移す日程を考える。餌を子牛用のものから次の段階のものへ切り替えていく。それぞれの個体にあったタイミングで離乳させていく。哺乳ロボットを洗浄する。出て行った後の牛房や飼槽をキレイにして消毒する。次に導入舎からくる子牛の受け入れ準備をする。
…など、目の前の仕事だけではなく、常に少し先の予定を見ながら動いています。
予定通りにいかないこともあるので、急な変更にも対応できるよう、できるだけ余裕をもって段取りしておくことも大切です。
特に、追い出しと受け入れが重なる時期はやることもたくさん…!
頭の中では「この子たちが出たらここを洗って、その次はこの牛たちを受け入れて…」と、先の予定を考えながら動いています。
離乳や除角、子牛にとって変化の多い時期
生後~21~60日齢というこの時期は、子牛にとっていろいろな変化が訪れます。
そのひとつが離乳です。
今まで栄養の多くをミルクから摂っていた子牛が、少しずつ固形飼料中心の食事へと移っていきます。
離乳は子牛にとって大きな変化なので、負担をできるだけ減らせるよう、餌の食べ方や体調を見ながら少しずつ進めていきます。
また、哺育舎では除角を行う時期でもあります。(最近は離乳舎に行ってから行うことも多いですが…)
除角については、こちらの記事から↓
離乳や除角など、子牛にとってストレスになりやすい出来事が重なるからこそ、この時期は特に体調の変化に気を配るようにしています。
下痢をしていないか、肺炎の兆候はないか。普段の様子を知っておくことが、少しでも早く異変に気付く近道になります。
子牛たちの性格も、本当にそれぞれ
哺育舎で働いていて面白いのが、子牛にもちゃんと個性があるところ。
とにかく人が大好きで近寄ってくる子もいれば、少し離れたところからじっとこちらを見ている警戒心の強い子もいます。
餌の時間になると、他の子を押しのける勢いで食べにくる子牛もいれば、自分のペースでちょこちょこ食べる子もいて。
人間と同じで、本当に一人ひとり違うんですよね。

毎日接していると、「この子はこういう性格だな」というのも自然とわかってくるものです。
まだ体も小さく、人懐っこい子が多いのも哺育舎の子牛ならではの可愛さ。
赤ちゃんだった子牛が日に日に大きくなっていく姿を近くで見られるのは、この仕事の楽しさの一つでもあります。
帰る前に、もう一度牛舎の確認
1日の最後は、翌朝まで安心して子牛が過ごせる状態かどうかの確認です。
夜の気温をチェックして、それに合わせて牛舎の換気を調整します。

夜間は職員がいなくなるので、体調の悪そうな子牛はいないか、もう一度見て回ります。
餌は朝まで足りそうか。
施錠はできているか。
翌日使う消毒液はキレイな状態か。
次の日の仕事がスムーズに進められるよう、必要な準備もここで済ませておきます。
最後にもう一度牛たちの様子を確認したら、その日の仕事はおしまいです。
大切な牛をお預かりしているからこそ
こうして振り返ってみると、哺育舎の仕事は「ミルクを飲ませて、餌を与えて、掃除をする」だけでは終わりません。
毎日牛を見て、小さな変化にも気を配る。次に牛が移動する日のことを考えて準備しておく。牛舎を清潔に保つ。そして、何かあったときにはできるだけ早く対応する。
どれも欠かすことのできない仕事ばかりです。
当センターで育てている牛たちは、畜主さんからお預かりしている牛たち。
忙しい日でも毎日の健康チェックを怠らず、けがや病気をできるだけ防ぎながら、万が一体調を崩したときにも早く気づけるよう、一頭一頭に向き合って管理しています。
今回は「哺育舎の1日」をご紹介しました。
普段なかなか見ることのできない、預けた牛たちの毎日の様子が少しでも伝われば嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!





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