ぽっこりあご腫れ

前回、子牛に乾草を与えた結果生じた問題点について触れました。前回のヒントの画像をご覧になって気づいた方もいらっしゃるかと思います。というよりタイトルで言ってしまっているので台無しですね。

ということで、今回は子牛のあご腫れについてのお話です。え、そんなことあるの?と感じる方ももしかしたらいらっしゃるかもしれませんが、あるんです。割とそこそこの頻度で。

まず、どこがどんな風に腫れるのかといいますと、この画像を見ていただくのが手っ取り早いでしょう。

このように、下あごにぽっこりとした、固い腫れができます。左右どちらか、あるいは両方に腫れができます。サイズ感は大きい飴玉くらいのイメージです。

次に、あご腫れの原因についてですが、実は明確にこれ、と断定できるものがありません。ただ、あごが腫れる子牛を見ていて、その傾向から、おそらくこのあたりが関係しているのでは?という要素がありますので、以下に示します。

・乾草に含まれている硬い部分(茎など)

・乾草の摂取量が多い

・出やすい農場と出にくい農場がある

さて、ひとつずつ解説していきますが、まず茎など硬い部分ですね。直接的な原因となり得る要因のひとつはこれではないか、というのが筆者の推測です。乾草を食べたときに、茎が口の中に傷を作り、そこから腫れが起こる、というのは自然にイメージできますよね。あるいは、乾草ではなく、麦稈を拾って食べてしまい……というのもあり得るかもしれません。

次に、乾草の摂取量が多いこと。これは厳密にいえば「原因」にはならないかもしれません。乾草を食べる量が多い、食べる頻度が多いということは、固い部分を口に入れてしまう可能性も高まります。要するに、試行回数を増やしてしまうということです。

そして、出やすい農場とそうでない農場がある、というのは感覚としてあります。これについては、原因になる菌を持っている農場では出やすいのではないか、という推測です。ただ、乾草の食い(食べ始める時期や摂取量)についても農場によって傾向が違う場合もあるので、実際はより複合的な原因である可能性もあります。

……とここまで述べてきましたが、あご腫れの悪影響、正直に言ってしまうと、あるかと聞かれると微妙なところです。というのも、あご腫れを原因としてミルクの飲みが落ちたり、餌を食べなくなったりというのは、ほとんど見受けられていないからです。それこそ今までで1頭くらいしかいなかったような気がします。極端な話、人によっては放置する人もいるくらいかもしれませんね。

あご腫れの治療についてですが、アグリサービスでは、早めに発見してペニシリンを使えば、割とすんなり引っ込む、というのがノウハウになりつつあります。子牛の体格にもよりますが、1ヶ月齢未満くらいの大きさであればペニシリン3mlを3~5日間、大きい子牛や1ヶ月齢以上の子牛、3mlで効果が薄い場合は3.5mlを朝夕で注射します。これでもダメな場合は抗生剤を変えるしかないので、獣医さんにお願いしていますね……。

長くなってしまいましたが、今回はここまでとなります。次回は8/23、子牛の反芻についてお届けしていきたいと思っています。それではまたお会いしましょう!

コメント

タイトルとURLをコピーしました